高柳町 陽の楽家

© Mitsumasa Fujitsuka
茅葺の民家が円を描いて田を囲む、新潟県柏崎市高柳の環状集落の一角に、茅葺のコミュニティ施設をデザインした。
同じ高柳にある、小林康生さんが主宰する門出和紙の工房とコラボして、建物の外壁、内装のほとんどを和紙で覆った。明治以前の日本の家屋が、ガラスを用いずに明(あかり)障子すなわち和紙だけで内外の空間を仕切っていたことにちなんで、ガラスの代わりに、コンニャクで防水加工を施した和紙を内外の境界とすることによって、地域の人が集まる空間にふさわしい、やさしく、暖かい空間ができあがった。床も柱、梁もすべてコンニャクを塗った和紙で覆われている。建物の敷地にも水を引き込み水田とすることによって、水田の中に茅葺の屋根が浮かぶ、夢の中の原風景のようなプリミティブな建築が生まれた。
設計:隈研吾建築都市設計事務所
構造:中田捷夫研究室
設備・電気:森村設計
施工:永井工務店