那珂川町馬頭広重美術館

日本 栃木県 那須郡那珂川町
隈研吾建築都市設計事務所
© Mitsumasa Fujitsuka
里山の麓の立地を生かして、里山と街をつなぐ「孔」としてのミュージアムを作った。街の中心から、建物を貫通して、里山の麓にある神社へと至る「広重街道」と名付けたアプローチをデザインし、街と自然を結ぶ軸線=広重街道を導入することで、人工と里山、コミュニティと里山とをつなぎ直そうと試みた。この「孔」を通じて人が里山へと回遊し、里山が単なる裏山とならずに、コミュニティの生活の一部となることをめざした。
使う材料も里山の産物を多用し、杉、和紙、石など、この地域でとれた素材を使い、地域の職人の技を用いることにこだわった。屋根と壁を覆う地元の八溝(やみぞ)杉のルーバーは、歌川広重の名作《大はしあたけの夕立》の雨の表現からヒントを得た。壁ではなく、透明感のあるルーバーを多用することによって、親しみのある地域に開かれたミュージアムができあがった。
設計:隈研吾建築都市設計事務所
構造:青木繁研究室
設備・電気:森村設計
施工:大林組